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問題、および解説

【問14】<行政不服審査法と行政事件訴訟法の比較(25-14)>

正解 4

行政不服審査法(以下「行審法」という。)と行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)の比較に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

  1.  行訴法は,行政庁が処分をすべき旨を命ずることを求める訴訟として「義務付けの訴え」を設けているが,行審法は,このような義務付けを求める不服申立てを明示的には定めていない。←正しい
  2.  行審法は,同法にいう処分には公権力の行使に当たる事実上の行為で継続的性質を有するものが含まれると定めているが,行訴法は,このような行為が処分に当たるとは明示的には定めていない。←正しい
  3.  行訴法は,取消訴訟の原告適格を処分等の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」に認めているが,行審法は,このような者に不服申立て適格が認められることを明示的には定めていない。←正しい
  4.  行訴法は,訴訟の結果により権利を害される第三者の訴訟参加に関する規定を置いているが,行審法は,利害関係人の不服申立てへの参加について明示的には定めていない←誤り 定めあり
  5.  行訴法は,取消訴訟における取消しの理由の制限として,自己の法律上の利益に関係のない違法を理由とすることはできないと定めているが,行審法は,このような理由の制限を明示的には定めていない。←正しい

<勉強の仕方>

25-14のテーマそのものは「ハイハイ」という感じ。けれども、「出るとわかっていたけど」間違えやすい問題です。しかも、「明示的に定めていない」かどうかは条文を隅から隅まで読んでないと「覚えてないよ」という方多かったと思います。しかも「明示的に書いてあったんじゃね?」と疑心暗鬼になるフレーズばかり。やはりここはしっかり違いを準備して、直前に見て確認できるアンチョコをつくっておきましょうね。

<行政不服審査法と行政事件訴訟法の比較>

 

  行政不服審査法 行政事件訴訟法
目的 ①国民の権利救済を図る
②行政の適正な運営を確保
(1条)
国民の権利保障、救済としての司法作用
「処分」の定義
(事実行為は
含まれるか)
明文あり「公権力の行使にあたる事実上の行為で継続的性質を有するもの」(3条) 「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(3条2項)事実行為については明文なし(判例では含まれるとは解釈されている)
処分取消における
適格者要件
「行政庁の処分に不服がある者」(4条1項)(判例では法律上の利益を有する者とほぼ同じになっている) 「法律上の利益を有する者」(9条1項)
処分取消しの
理由の制限
特に制限規定なし 自己の法律上の利益に関係のない違法を理由とすることはできない(10条1項)
対象 違法・不当 原則として違法・裁量権の逸脱濫用
期間制限 処分があったことを知った日の翌日から60日以内
処分があった日の翌日から1年(14条)
処分があったことを知った日から6ヶ月
処分又は裁決があった日から1年(14条)
判断機関 行政庁、行政委員会等の行政機関 裁判所
審理手続 書面審理主義が原則 口頭弁論主義が原則
第三者の参加 利害関係人の不服申立てへの参加(24条) 権利を害される第三者の訴訟参加(22条)
処分変更・
不利益変更
の禁止
明文あり(40条5項) 明文なし・不可
職権による
執行停止の可否
可(34条2項) 明文なし・不可(申立てによる執行停止のみ)
教示の相手方 ①当該処分の相手方②利害関係人(57条) 当該処分又は裁決の相手方(46条)
教示の誤り
・懈怠
救済措置規定あり(18・46・58条) 救済措置規定なし
行政庁への
義務付け
明文なし(できるとは解釈されている) 明文あり(3条6項)

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