一般知識ガイダンス
【問1】<基礎法学・法の解釈(25-1)>
正解 3
次の文章にいう「第二段の論理の操作」についての説明として,妥当なものはどれか。
成文法規の解釈は,まず「文理解釈」に始まり,次いで「論理解釈」に移る。文理解釈は,成文法の文章および用語について法規の意義を確定し,論理解釈は,成文法の一般規定を具体的な事件の上に当てはめるための論理的の筋道を考察する。論理解釈を行うに当っては,第一に「三段論法」が活用される。三段論法による法の解釈は,法規を大前提とし,事件を小前提として,結論たる判決を導き出そうとするのである。
しかし,いかに発達した成文法の体系といえども,絶対に完全無欠ではあり得ない。故に,特殊の事件につき直接に三段論法を適用すべき明文の規定が欠けている場合には,更に第二段の論理の操作が必要となる。←まず明文の規定がかけている場合であることをチェック
- 甲の事件につき規定がなく,類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合,甲にも乙の規定を準用しようとするのは,「反対解釈」である。←妥当でない 類推解釈
- 乙についてのみ規定があり,甲に関する規定が欠けているのは,甲に対する乙の規定の準用を排除する立法者の意志である,という理由から,甲に対しては乙の場合と反対の解釈を下すのは,「勿論解釈」である。←妥当でない 反対解釈
- 甲の事件につき規定がなく,類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合,甲にも乙の規定を準用しようとするのは,「類推解釈」である。←妥当である
- 乙についてのみ規定があり,甲に関する規定が欠けているのは,甲に対する乙の規定の準用を排除する立法者の意志である,という理由から,甲に対しては乙の場合と反対の解釈を下すのは,「拡大解釈」である。←妥当でない 反対解釈
- 甲の事件につき規定がなく,類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合,甲にも乙の規定を準用しようとするのは,「縮小解釈」である。←妥当でない 類推解釈
<勉強の仕方>
25-1。類推解釈、縮小解釈、とキターと思った方が、問題を読んだとたん「アレ?」と思う問題。文章読解か?ととまどった方も。ひとつひとつの肢をきちんと当てはめて、論理操作をした方、ご立派です。ただ、手前の文章を読まなくてもあてはめて、とけたのでは?と首をかしげたくなる問題。
対策としては、やはり、それぞれの解釈の定義をきちんと押さえておくこと…ですかね。
<法の解釈の手法>
手法 | 定義・利点 | |
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文理解釈 | 法文(条文)の言葉と文章に忠実に解釈する方法。一般確実性の確保に良い手法。 | |
論理解釈・目的論解釈 (以下はそのための手法として整理してある基本書が多い) |
法文や文言の文法的意味に過度にとらわれることなく、法制定の沿革や法体系上の法文の位置等から法規範を解釈する方法。具体的妥当性の確保に良い手法。 | |
(1) | 反対解釈 | 一定の法命題が明文で規定されているときに、その規定から反対命題を引き出す方法。 |
(2) | 類推解釈 | 当該事項について明文の定めがないときに、類似する事項についての規定を借りてきて、その事項にあてはまるように、必要な修正を加えながら適用する方法。 |
(3) | 勿論解釈 | ある事実に関する法令の規定について、その趣旨・目的から、法令の規定がない他の事実に関して、条理から当然にその規定を適用すベきとする方法 |
(4) | 縮小解釈 | 法文の言葉を通常の意味よりも狭く解釈する方法。 |
(5) | 拡張解釈・拡大解釈 | 法文の言葉を通常の意味よりも広く解釈する方法。 |
(6) | 変更解釈・補正解釈 | 法文の文字を変更して解釈する方法。 |